277-120_丹生神社(香美町香住区浦上)

比定社:丹生神社(香美町香住区浦上)

式内社コード:277-120
神名帳社名 :丹生神社、ニフノ
社    格:小
所 在 地 :669-6431 兵庫県美方郡香美町香住区浦上1185-2
Plus Code  :JMW7+RH 香美町、兵庫県
※Google Mapで上記の Plus codeを検索すると表示されます。

アプローチ&ロケーション

「にゅうじんじゃ」と読む、地名の浦上は「うらがみ」と読む。
浦上集落の中の丘の麓に鎮座。
兵庫県道11号香美久美浜線(但馬漁火ライン)に柴山駅の案内看板がある。
この案内に従って南へ入り突き当りを左(東)へ行くとすぐ鳥居がある。
周辺は民宿や旅館が多く道は狭く、すぐ南にJR山陰本線の柴山駅がある。
駐車場は無いので注意。

訪問しやすさ指数

管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。

【秘境2】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル

【交通1】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける

【徒歩1】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易

【探索2】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル

ハイライト

丹生はどこにあったのか。

写真

丹生神社(香美町香住区浦上)を正面より望む。周囲は人家や民宿等が建て込んでいる地域。
丹生神社(香美町香住区浦上)を正面より望む。周囲は人家や民宿等が建て込んでいる地域。
丹生神社(香美町香住区浦上)の横は兵庫県道163号柴山停車場線となっていて、すぐ右側にJR山陰本線の柴山駅がある。駐車場はないので周辺道路に駐車するしか無いので邪魔にならないように注意。
丹生神社(香美町香住区浦上)の横は兵庫県道163号柴山停車場線となっていて、すぐ右側にJR山陰本線の柴山駅がある。駐車場はないので周辺道路に駐車するしか無いので邪魔にならないように注意。
向こうに見える電柱のところが兵庫県道11号香美久美浜線(但馬漁火ライン)から入ってきて突き当りの場所。周辺道路は狭いので注意が必要。
向こうに見える電柱のところが兵庫県道11号香美久美浜線(但馬漁火ライン)から入ってきて突き当りの場所。周辺道路は狭いので注意が必要。
鳥居を正面より望む。社標には式内・丹生大明神、鳥居の扁額には丹生大明神とある。
鳥居を正面より望む。社標には式内・丹生大明神、鳥居の扁額には丹生大明神とある。
鳥居をくぐると広場になっている。社殿のある場所は1段高くなっている、背後に小高い山があるのが分かる。
鳥居をくぐると広場になっている。社殿のある場所は1段高くなっている、背後に小高い山があるのが分かる。
広場の左奥には浦上区いきいき・ふれあいサロンがある。地域と密接な様子がよく分かる。
広場の左奥には浦上区いきいき・ふれあいサロンがある。地域と密接な様子がよく分かる。
さらに左手には民家や遊具。民家との境目が無く大変面白い。
さらに左手には民家や遊具。民家との境目が無く大変面白い。
社殿を左側より望む。社域はたいへんきれいに保たれていて気持ちよく参拝できる。
社殿を左側より望む。社域はたいへんきれいに保たれていて気持ちよく参拝できる。
社殿を正面より望む。
社殿を正面より望む。
社殿は覆屋に入った本殿、それに付随した相殿のような社で構成される。覆屋には組物彫り物が施される。
社殿は覆屋に入った本殿、それに付随した相殿のような社で構成される。覆屋には組物彫り物が施される。
覆屋に入った本殿を左側より望む。
覆屋に入った本殿を左側より望む。
社殿の扁額には式内・丹生神社とある。
社殿の扁額には式内・丹生神社とある。
覆屋の中の本殿を望む。きれいに飾り付けられていて地域に大事にされている様子が伺える。
覆屋の中の本殿を望む。きれいに飾り付けられていて地域に大事にされている様子が伺える。
覆屋に入った本殿の右側には覆屋と繋がった社がある。八幡社とある、相殿なのだろうか。
覆屋に入った本殿の右側には覆屋と繋がった社がある。八幡社とある、相殿なのだろうか。
覆屋に入った本殿の左側には稲荷大明神と弁財天が鎮座。こちらは社殿がつながっていない。
覆屋に入った本殿の左側には稲荷大明神と弁財天が鎮座。こちらは社殿がつながっていない。
社殿より正面を望む。
社殿より正面を望む。
社殿前の広場より両部鳥居を望む。左の木の奥に見えているのがJR山陰本線の柴山駅。
社殿前の広場より両部鳥居を望む。左の木の奥に見えているのがJR山陰本線の柴山駅。

感想

由緒書はないので詳細不明。


「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る(追加修正あり)。

ご祭神は、丹生津彦命・丹生津姫命・吉備津彦命。
 また次の説もあるようだ。
  高野姫命・吉備津彦社命・建額明命『国司文書・但馬故事記』
  再生大明神・高野大明神・吉備津大明神『寛延書上帳』

仁徳元年(313年、諸説あり)創建。
嘉祥4年(851年)正六位上。
宝永元年(1704年)御船代を修繕。
元文4年(1739年)社殿改造、同時に社殿を丹生山から麓に遷宮。
明治6年(1873年)村社。
明治29年(1896年)本殿再建。

かつての鎮座地は丹生山山頂、元文4年(1739年)8月15日現在の地に遷座。

江戸時代までは「舟生神社」と呼ばれていた。

仁徳元年6月10日美含県主仁良山命が、丹生山に神籬を建てたのが創祀という。
かつての鎭座地は、丹生山山頂にあったものとされているが、丹生山の所在地は不明。
ただ、現鎮座地の後背の山塊が旧地との説もあり、中腹に二反ほどの広い土地があり、そこには若干の石段の跡もみられるという。

とある。


兵庫県神社庁によると

主祭神:丹生津彦命(ニウツヒコノミコト)。
配祀神:丹生津姫命(ニウツヒメノミコト)・吉備津彦命(キビツヒコノミコト)。

 仁徳天皇元年(313)6月10日美含県主仁良山命丹生山に神籬を建て祀ると伝え、陽成天皇元慶3年(879)夏4月3日美含大領従7位上楓朝臣氏世祠を建て之を祀り但馬国神社授位大腸には嘉祥4年(851)正月27日授但馬国無位丹生神正6位上醍醐天皇延長5年(927)12月但馬国正6位上丹生神官社に列すと記す。
 延喜式の制小社に列し宝永3年(1706)御船代を修繕し元文4年(1739)8月15日社殿を改造して丹生山より麓に遷宮せり。
 明治6年(1873)10月村社に列し同29年(1896)に本殿を再建す。

とある。


丹生神社(香美町香住区浦上)のある当地は、日本海に向けて開けた柴山港の南の端にあたる場所。

但馬国で丹生(にゅう)が付く神社や地名は珍しい。
ご存知の通り丹生(にゅう)とは水銀のことで、古代ではおおいに珍重された鉱物資源である。
それだけに、時の朝廷により保護されたようだ。
丹生と言えば、奈良県吉野郡や三重県多気郡が代表格だろうと思うが、兵庫県にも丹生があったのだ。

当地より南へ1.5kmほどの場所に「美方郡香美町香住区丹生地」という場所があり以下のような遺跡等がある(兵庫県考古博物館資料による)。
丹生地奥古墳・丹生地イナンバ古墳・丹生地ヘタバナ遺跡・勢多端城址等。
しかも、丹生神社のある「香美町香住区浦上」とは街道(たぶん徒歩のみ未確認)が通じていて行き来できる場所となっていて浦上と丹生地の境までは1kmほどの距離となっている。
丹生神社(香美町香住区浦上)は、元文4年(1739年)社殿改造と同時に社殿を丹生山から麓に遷宮、となっているが元の鎮座地の丹生山が不明となっている。
こうしたことを考えれば、元の鎮座地は「美方郡香美町香住区丹生地」あたりの山のひとつだったと考えるのが自然だと思う(個人的見解です)。
加えて、丹生神社(香美町香住区浦上)のある当地は標高が低く3mほど、古代においては海だったかもしれない。

遷座の記録が元文4年(1739年)となっていて比較的新しいが、江戸時代であっても詳細な記録が無かったり、元の鎮座地が不明だったり、なかなか難しいものだ。
新たな資料でも見つからない限り詳細は不明のままであるが、こうしたところも歴史の醍醐味だろうと思う。

丹生神社(香美町香住区浦上)のご祭神は、丹生津彦命・丹生津姫命・吉備津彦命となっている。
丹生神社らしいご祭神だが、吉備津彦命については詳細は不明だ。

丹生神社(香美町香住区浦上)へのアプローチは比較的分かりやすい。
簡単に言うとJR山陰本線の柴山駅のすぐ北側にある。
兵庫県道11号香美久美浜線(但馬漁火ライン)に柴山駅の案内看板があり案内に従って南へ入り突き当りを左(東)へ行くとすぐ鳥居がある。
周辺は民宿や旅館が多く建て込んでいて道は狭いので注意が必要だ。

民家の建物の横に唐突に丹生神社(香美町香住区浦上)の両部鳥居がある。
周囲の道路や建物により社域がいびつな形状になっている印象。
鳥居の扁額には丹生大明神、社標には式内・丹生大明神とある。
鳥居をくぐると広場になっており、広場を囲むように建物が多くある。
浦上区いきいき・ふれあいサロンや民家だったりする、境界が無いのが面白い。
社殿は1段高いところにあり、覆屋に入った本殿のみのシンプル構成。
両側に摂社末社があり背後には裏山が迫っている(裏山が元の鎮座地との説もある)。
覆屋にかかる扁額には式内・丹生神社とある。
覆屋と本殿は、明治29年(1896年)本殿再建とあるので新しくて状態が良いように感じる。
全体的に非常きれいに保たれていて地域に大事にされている様子が伝わってくる。

但馬国では貴重な丹生を産出した地を守る神社。

注意点

駐車場は無いので注意。

訪問ノート

訪問日 :2021/8/12
交通手段:クルマで訪問
カメラ :α7M3 + FE16-35mm F2.8 GM