268-180_(論)板列八幡神社(与謝野町男山)

比定社:(論)板列八幡神社(与謝野町男山)

式内社コード:268-180
神名帳社名 :板列神社、イタツラノ/イタナミ
社    格:小
所 在 地 :629-2261 京都府与謝郡与謝野町男山178
Plus Code  :H5G7+63 与謝野町、京都府
※Google Mapで上記の Plus code を検索すると所在地が表示されます。

アプローチ&ロケーション

「いたなみはちまんじんじゃ」と読む、地名の男山は「おとこやま」と読む。
男山集落の北の端の小高い丘に鎮座。
国道482号線の1本北側の旧街道沿いに神社入口がある。
真ん前に男山公民館があるので目指していけば良い。
駐車場は無いので注意。

訪問しやすさ指数

管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。

【秘境2】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル

【交通2】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける

【徒歩3】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易

【探索2】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル

ハイライト

阿蘇海を見下ろすことのできる立地。
神明造りの厳かな本殿、古くてかわいらしい狛犬。

写真

板列八幡神社を正面より望む。入り口は民家の間にあり神社自体は南を向いている。
板列八幡神社を正面より望む。入り口は民家の間にあり神社自体は南を向いている。
右側(東)を望む。男山集落の中にある。
右側(東)を望む。男山集落の中にある。
左側(西)を望む。神社の正面には男山公民館があり、ここに駐車させていただいた。
左側(西)を望む。神社の正面には男山公民館があり、ここに駐車させていただいた。
神社入り口の左右の民家もなかなか渋くて良い雰囲気を出している。
神社入り口の左右の民家もなかなか渋くて良い雰囲気を出している。
社標には式内とある。
社標には式内とある。
鳥居をくぐると階段の参道が始まる。社殿は階段になった参道を10分ほど登る。
鳥居をくぐると階段の参道が始まる。社殿は階段になった参道を10分ほど登る。
平安期の木造女神坐像2体あり、これが保存庫だと思われる。神社で神像があるのは珍しく貴重だ。
平安期の木造女神坐像2体あり、これが保存庫だと思われる。神社で神像があるのは珍しく貴重だ。
手水舎。
手水舎。
手水舎をすぎると本格的な階段の参道が始まる。特に雨の日は滑りやすいので要注意。
手水舎をすぎると本格的な階段の参道が始まる。特に雨の日は滑りやすいので要注意。
階段の参道は途中から古いものに変わる。途中で何度か折れ曲がっている。
階段の参道は途中から古いものに変わる。途中で何度か折れ曲がっている。
やっと社殿が見えてくる。社殿の右側よりアプローチする感じ。かつては急斜面を真っ直ぐ登る参道だったと思われる。
やっと社殿が見えてくる。社殿の右側よりアプローチする感じ。かつては急斜面を真っ直ぐ登る参道だったと思われる。
社殿がある場所は平らなスペースとなっている。古い狛犬や古木があり古社らしい雰囲気がある。本殿は天保年間に作られた神明造り。
社殿がある場所は平らなスペースとなっている。古い狛犬や古木があり古社らしい雰囲気がある。本殿は天保年間に作られた神明造り。
拝殿を正面より望む。山門のような重厚な作りの拝殿。手前に小さな狛犬が控える。
拝殿を正面より望む。山門のような重厚な作りの拝殿。手前に小さな狛犬が控える。
拝殿を左側より望む。
拝殿を左側より望む。
拝殿手前の阿形はこんな感じ。小さいし、現代的な感覚では、なにかしらかわいらしいお姿。
拝殿手前の阿形はこんな感じ。小さいし、現代的な感覚では、なにかしらかわいらしいお姿。
吽形はこんな感じで、同じく小さくてかわいいお姿。
吽形はこんな感じで、同じく小さくてかわいいお姿。
拝殿より本殿を望む。拝殿内部はきれいに保たれている。
拝殿より本殿を望む。拝殿内部はきれいに保たれている。
本殿を左側より望む。本殿は天保年間に作られ神明造り。ご祭神は誉田別命。
本殿を左側より望む。本殿は天保年間に作られ神明造り。ご祭神は誉田別命。
きちんと棟持柱がある本格的な形式を取る。丹後国にはいくつか神明造りの本殿を持つ神社がある。
きちんと棟持柱がある本格的な形式を取る。丹後国にはいくつか神明造りの本殿を持つ神社がある。
社殿のある場所は長い階段の参道を登ってきたので高い場所にある。阿蘇海と天橋立が一望できる。
社殿のある場所は長い階段の参道を登ってきたので高い場所にある。阿蘇海と天橋立が一望できる。
拝殿のある広場より参道を望む。かつては拝殿の前にまっすぐ上がってくる急勾配の階段の参道だったと思われるが、くねくね曲げて勾配を緩和したのだろう。参道の途中にも摂社がいくつかある。
拝殿のある広場より参道を望む。かつては拝殿の前にまっすぐ上がってくる急勾配の階段の参道だったと思われるが、くねくね曲げて勾配を緩和したのだろう。参道の途中にも摂社がいくつかある。
雨の日は石段が滑りやすいので注意されたし。
雨の日は石段が滑りやすいので注意されたし。
参道の階段より鳥居を望む。
参道の階段より鳥居を望む。
参道より鳥居を望む。正面に見えるのが男山公民館。こちらに駐車させていただいた。
参道より鳥居を望む。正面に見えるのが男山公民館。こちらに駐車させていただいた。

感想

与謝野町教育委員会謹製の木造女神坐像説明書によると

国指定重要文化財[彫刻]
 指定日 昭和二十五年八月二十九日
木造女神坐像(もくぞうめがみざぞう) 二躯 平安時代
 二躯(く)の木造女神坐像は、板列八幡神社(いたなみはちまん)の御神像(ごしんぞう)で、息長足姫命(おきながたらしひめのみこと)像(右)と仲津姫命(なかつひめのみこと)像(左)です。
一般的に八幡神社の御神像は応神(おうじん)天皇の男神像一躯と女神像二躯の三躯で、本神社にもかつて男神像があったと伝わっています。
 二躯の女神坐像は、ともに一木造りで、淡麗な造りで素朴な面立ち(おもだち)の中にも品格を漂わせる優美な表情を浮かべています。また、お顔や衣装に残る顔料は当時の姿を想像させます。
 与謝野町教育委員会

とある。

由緒書はないので詳細不明。

「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る(追加修正あり)。

ご祭神は、誉田別命・息長足姫命・稻乃売神。

永承4年(1049年)小野仁海僧正が仏舍利を納める。
天保5年(1834年)社殿再建(修正)。
明治6年(1873年)村社。
明治43年(1910年)神饌幣帛料供進神社指定。

もと当字西端の加舞満久に鎮座していた、その後当地にあった八幡宮の地に遷座。

式内の板列神社はもと当字西端の加舞満久(「ガンマク」の森)に鎮座していたが社殿が荒廃したので当社(八幡宮)に併合し、それ以来板列八幡と称するようになつたという伝承がある。

とある。

板列八幡神社は、延喜式神名帳の丹後国・与謝郡の「板列神社」の論社2社のひとつ。
当社、板列八幡神社と板列稲荷神社が論社になっているがハッキリしないようだ。

当地は古くより開けていた場所のようで、近くには法王寺古墳(74メートルの巨大古墳らしいが現在は失われている)がある。
確かに、社殿のある場所からは阿蘇海と天橋立が一望できる。
平安期には当地は石清水八幡宮の荘園となっており板列荘と呼ばれていた。
その関係だろうか石清水八幡宮を勧請したらしい。
その際に元々当地より奥にあった板列神社を合併し板列八幡神社とした。
現在のご祭神は、誉田別命、配祀として息長足姫命、稻廼売命となっている。

板列八幡神社へのアプローチは、国道482号線の1本北側の旧街道沿いに神社入口がある。
真ん前に男山公民館があるので目指していけば良い。

鳥居をくぐると苔むした長い階段の参道を登る、雨の日は滑りやすくなるので十分に注意が必要。
参道を登りきると広場となり拝殿と本殿がある。
本殿は神明造りで天保年間に造営されたようだ。
また平安期の木造女神坐像2体が存在する。
拝殿前の狛犬は年代不詳だが姿かたちが非常に愛らしい。
社叢には古木が多く古社を感じさせる。

与謝野町春の例祭として加悦谷祭「岩滝祭」が開催されている。
加悦谷全体を巻き込んでの祭りの行事で、多数の神社が参加している、素晴らしいことだ。
岩滝区・男山区・石田区・弓木区では、板列八幡神社・板列稲荷神社・水無月神社・木積神社が参加している。
祭りの説明書きには次のようにある。
”「板列稲荷神社では、祭礼の後、御神輿が出立する前に与謝野町指定無形民俗文化財の岩滝の獅子神楽(御宝楽の舞)が奉納され、与謝野町役場まで巡行します。与謝野町役場では祭礼の後、子ども神楽が奉納されます。祭礼の後、岩滝連合区(4区)を獅子舞が巡行します。”
物理的な社域・社殿もそうだが、こうした無形の文化面の継承も長く続けてほしいと思う。

中世に石清水八幡宮の荘園だった影響を色濃く残す神社。

注意点

駐車場がないので注意。
雨の日は苔むした長い階段の参道が滑るので注意。

訪問ノート

訪問日 :2019/9/22
交通手段:クルマで訪問
カメラ :RX100M3