263-070_熊桉神社

比定社:熊桉神社

式内社コード:263-070
神名帳社名 :熊桉神社、クマクラノ
社    格:小
所 在 地 :669-2408 兵庫県篠山市春日江4
Plus Code  :37PG+97 篠山市、兵庫県
※Google Mapで上記の Plus code を検索すると所在地が表示されます。

アプローチ&ロケーション

くまくら または くまあん と読む。
春日江の集落の東の小高い丘に鎮座。
兵庫県道305号瀬利八上上線の春日江公民館を目指すと少し南に右(東)へ入る道路の奥に鳥居が見える、比較的見つけやすい。
周辺は山林、田畑、人家で静かな集落の東の端になる。
元は春日江公民館のあたりに鎮座していたらしい文亀年間に現在地に遷座とある。
駐車場はないので近所に止めて歩いてアプローチ。

訪問しやすさ指数

管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。

【秘境2】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル

【交通3】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける

【徒歩2】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易

【探索2】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル

ハイライト

素晴らしい中井権次橘正次による本殿の彫り物。
春日江の集落の雰囲気が非常に良い感じ。

写真

熊桉神社の鳥居を兵庫県道305号瀬利八上上線より望む。県道からは少し奥まった場所にあるが見通しが効くので見つけやすい。
熊桉神社の鳥居を兵庫県道305号瀬利八上上線より望む。県道からは少し奥まった場所にあるが見通しが効くので見つけやすい。
神社入口より右側(南)を望む。この道は兵庫県道305号瀬利八上上線。
神社入口より右側(南)を望む。この道は兵庫県道305号瀬利八上上線、この方向は日置方面。
神社入口より右側(北)を望む。春日江公民館が木のある場所にある、ここが旧鎮座地ということだ。大きな木は「春日江のカヤ」でかつての熊桉神社のご神木だった。
神社入口より右側(北)を望む。春日江公民館が木のある場所にある、ここが旧鎮座地ということだ。大きな木は「春日江のカヤ」でかつての熊桉神社のご神木だった。
鳥居を正面から望む。
鳥居を正面から望む。
社標には式内とある。
社標には式内とある。
神社謹製の由緒書。創建は不明、結局あまり詳しいことは分からないようだ。
神社謹製の由緒書。創建は不明、結局あまり詳しいことは分からないようだ。
鳥居をくぐると苔むした階段の参道を登る。古木が多く良い雰囲気だ。
鳥居をくぐると苔むした階段の参道を登る。古木が多く良い雰囲気だ。
石段を登ると社殿を横から見る形になる。社殿自体は南を向いている。
石段を登ると社殿を横から見る形になる。社殿自体は南を向いている。
手水舎。新旧2つの手水鉢。後ろの薪が良い感じ。
手水舎。新旧2つの手水鉢。後ろの薪が良い感じ。
拝殿を少し左より望む。お寺のお堂のような作り。
拝殿を少し左より望む。お寺のお堂のような作り。
拝殿の左側には神饌所のような建物が渡り廊下で繋がっている。
拝殿の左側には神饌所のような建物が渡り廊下で繋がっている。
本殿を右側から望む。千木が壊れているのが残念、状態はあまり良くない。
本殿を右側から望む。千木が壊れているのが残念、状態はあまり良くない。
本殿を左側から望む。立派な作りで彫り物が多数施されているのが分かる。
本殿を左側から望む。立派な作りで彫り物が多数施されているのが分かる。
本殿を正面より望む。中井権次橘正次による彫り物が素晴らしい。
本殿を正面より望む。中井権次橘正次による彫り物が素晴らしい。
拝殿の裏側に置かれたちょっとレトロな手動ポンプ。
拝殿の裏側に置かれたちょっとレトロな手動ポンプ。
参道より鳥居を望む。小高い丘になっていることが分かる。
参道より鳥居を望む。小高い丘になっていることが分かる。
鳥居前より春日江の集落を望む。
鳥居前より春日江の集落を望む。

感想

神社謹製の由緒書によると

熊按神社(くまあん(くら))(延喜式内社)
千百年以上も前に創建され、全国唯一の名を持つ神社です。
春日江村は、正慶年間(しょうきょう、1332~34)に奈良の春日大社のご分霊を勧請したことにより村名を改めたと伝えています。
すでにその頃、熊野神社がここにあって、春日神社が合祀(ごうし)され、いつのほどにか、熊野の野の草書体が書き間違われたのかも知れません。
所在地が不明確でしたが、享保の頃に村役が届出ていること、明冶3年の調査や昭和12年の県神社誌によって、ここが鎮座所とされたのです。

とある。

「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る(追加修正あり)。
ご祭神は、皇大神・応神天皇、(配祀)天児屋根命・上筒男之命・熊野久須毘命・大山祇命・菅原道真
正慶2年(1333年)奈良より春日明神を勧請。
文亀年間(1501~1504年)本殿今の地に遷座再建(修正)。
享保年間(1716~1736年)造営。
慶応元年(1865年)造営。
明治初年熊按神社と改称。
明治6年(1873年)村社。
大正6年(1917年)神饌幣帛料供進神社指定。
春日江公民館の前が旧社地、その後現在の地に遷座。
江戸時代までは「春日大明神」と呼ばれていた。
とある。

春日江は、かつて田半滝(多波滝)村と言われていたそうで、正慶2年(1333年)春日明神を勧請した際に集落の名前も変更したということだ。
村の名前までも変更したほどの一大事だったのではないだろうか。

春日江公民館の前が、熊桉神社の旧社地ということだが、その場所には「春日江のカヤ」という古木がある。
この木はかつての熊桉神社のご神木だったということだ。
推定樹齢600年か、と言われているので室町時代くらいからここにあるのだろう。

現在の社域は春日江公民館から少し南、そこから東へ入ったところに西向きの鳥居がある。
石段を登ると、こちらも古木が多く古社を感じさせ雰囲気が良い。
石段を登りきると社殿の左側から入ることになる。

社域はコンクリートで覆われた部分が目立ち味気ない。
社殿は慶応元年(1865年)造営とある、拝殿は寺のような作りで大きい。
本殿は大きくはないが凝った作りで中井権次橘正次による本殿の彫り物が施されていて一見の価値がある。
本殿の状態は千木が壊れていたり、色あせてしまったりして決して良いとは言えない。

良い状態で保存してほしい神社。

注意点

駐車場はないので注意。

訪問ノート

訪問日 :2018/1/21
交通手段:クルマで訪問
カメラ :RX100