比定社:小代神社
式内社コード:279-020
神名帳社名 :小代神社 二座、ヲシロノ
社 格:小
所 在 地 :667-1533 兵庫県美方郡香美町小代区秋岡995
Plus Code :CG9C+66 香美町、兵庫県
※Google Mapで上記の Plus code を検索すると所在地が表示されます。
アプローチ&ロケーション
「おじろじんじゃ」と読む、地名の小代区秋岡は「おじろくあきおか」と読む。
秋岡集落の南の山麓に鎮座。
国道482号線より矢田川にかかった橋を東へ渡り850メートルほど舗装林道をクネクネと登ると突き当たりにある。
舗装林道は途中で未舗装となり集落からの標高差は80メートルほど。
周囲には人家はなく公園のように整備された社域で駐車も可能。
訪問しやすさ指数
管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。
【秘境4】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル
【交通3】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける
【徒歩1】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易
【探索2】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル
ハイライト
集落からかなり登った山の上に鎮座するところ。
美しく保たれた社域。
写真
感想
神社謹製の社標によると
小代神社祭神
天照皇大神
豊受大神
延喜式神名帳に小代神社二座と記載されており
多他神社と共に小代庄では最も古く由緒正しい
神社である 社殿は左右に二棟あり左殿は内宮
右殿は外宮である 他に境内には百二十神社と
稲荷神社が祀られている
とある。
「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る(追加修正あり)。
ご祭神は、天照皇大神。
創立年代を詳らかにすることは出来ない。
鎌倉時代神田二町を領有。
元和元年(1615年)造営。
享保13年(1728年)造営。
明治3年(1870年)神明宮を小代神社と改称。
明治6年(1873年)村社(追加)。
江戸時代までは「神明宮」と呼ばれていた。
本殿の手前には、長さ約7~8m、幅約4~5mの長円形をした池があり、この池の水を取替えると、どのような旱魃の時でも必ず降雨が期待出来るという言伝えが有る。
とある。
兵庫県神社庁によると。
主祭神:天照皇大神(アマテラススメオオミカミ)
由緒:
創立年月不詳
延喜式の制小社に列し鎌倉時代神田2町を領有し江戸時代元和元年(1618)、享保13年(1728)の両度本殿を再建し明治3年(1870)神明宮を現社名に復称せり。同6年(1873)10月村社に列せらる
とある。
天然記念物 もりあおがえるの棲息地
小代神社の境内にある池の付近が棲息地である。
わが国だけにいる種類で、本州、四国、九州の山地に棲息している。
体長は雄が5~7cm、雌が6~9cmあり、背は暗緑色の地にかっ色の斑点があり、腹は薄灰色の保護色になっている。
4月~6月ごろ、池や水たまり近くの小枝や草むらに白い泡のような卵のかたまりを生みつけ、ふ化すると水の中で「オタマジャクシ」になり、1ケ月ほどで「カエル」になる。
天然記念物 小代神社の燈明杉
所在地 美方町秋岡字宮山
延喜式神明帳(927)によると、小代神社が記載されており、皇太神宮と豊受大神宮が祀られている。
燈明杉は、小代神社の境内にあり、この名の由来については伝説が残っている。
慶長の頃(江戸時代初期)大阪浪人上田新左衛門という信仰深い武士が美方の地に留まっているとき。老翁が夢に現われ、神の霊があるとのお告げの通り、東方の杉の頂上に燈火のかがやきを感じ、老杉の下に祠を建てて厚く祀ったという説が伝えられ、大切に保存されている。
境内には小代杉の指定母樹が9本あり、燈明杉はそのもとになったものと思われる。
兵庫県謹製の説明書きによると
郷土記念物 小代神社(おじろ)の巨木群
指定対象 別図のとおり
指定年月日 平成7年3月31日
これらの樹木は、地域のシンボルとして親しまれている。ハリギリ、県内最大のハリギリの巨木である。
兵庫県
とある。
小代神社のある当地は矢田川流域にあたる。
矢田川は氷ノ山あたりを源とし北へ流れ日本海へ注ぐ直線で約32kmほどの流域を持つ。
矢田川流域には、日本海側河口(北)から法庭神社、椋橋神社・伊曽布神社と式内社が連なり、途中で古代山陰道の射添(いそう)の駅家を挟みさらに南へ多他神社・小代神社と連なっている。
氷ノ山あたりの鉱物資源を駅家や日本海側へ輸送するにあたって重要なルートに当たっていたのではないかと思われる(個人的見解です)。
東へ野間峠を越えれば香美町、西や南へ山を越えればもう鳥取県の若桜町という地域。
現代的感覚では山奥の僻地という感じだが、かつては国境を行き来する交通の要衝だったのかもしれない。
ただし、このあたりの山々は標高が高く1200~1300メートル級の山々が連なり険しい地域だ。
周囲には秋岡遺跡がある(兵庫県考古博物館資料による)。
また「おじろ」と言えば兵庫県に住んでいる人ならスキー場として知っている方も多いだろう、周囲にはスキー場がたくさんある。
小代神社のご祭神は、天照皇大神・豊受大神。
延喜式神名帳には「小代神社 二座」とあり、二座とは上記二柱の神々のことだろうと思われる。
社標には、「社殿は左右に二棟あり左殿は内宮、右殿は外宮である」とあるがこれはどれだか分からなかった。
小代神社のへのアプローチはそれほど比較的分かりやすいと思う。
国道9号線の小代口より南下し国道482号線に入り、そのまま10kmほどで秋岡集落内に矢田川にかかった橋がある。
この橋を東へ渡り850メートルほど舗装林道をクネクネと登ると突き当たりにある。
舗装林道は途中で未舗装となり集落からの標高差は80メートルほど、小代神社自体は標高420メートルほどの場所にある。
周囲には人家はなく公園のように整備された社域で駐車も可能。
深山幽谷という感じではないが、かなりの山の中という印象だ。
舗装林道を登っていくと未舗装になり、左手に手水舎が見えてくる。
道が左へ緩くカーブしており鳥居の反対側にクルマを駐車できるスペースがある。
クルマを降りて徒歩で手水舎の前を進むと巨木の間を通り鳥居がある。
鳥居の脇には多他神社と同じ形式の真新しい社標があり側面に神社の説明がある。
鳥居をくぐるとさらに左にカーブしながら参道が続いている。
少し行くと左手に「あおもりがえる」の棲息する池がある。
池の反対側には燈明杉があり重厚な社域を醸し出している。
社域は小さな盆地のような形になっており周囲は丘のようになっているのが分かる。
社殿は池の方向を向いていて方角的には南を向いている。
社殿は拝殿と覆屋に入った本殿で構成されている。
記録には享保13年(1728年)造営とあるが、外から見た様子では比較的新しいと思われる。
覆屋に入った本殿は全く見ることができないのが残念だ。
覆屋には外削ぎの千木と11本の鰹木が設置されていて、今まで訪ねた神社では最多の鰹木かもしれない。
本殿裏にはまだ朱色が眩しい稲荷社が鎮座している。
また説明書きにあるように「社殿は左右に二棟あり」というのはよく分からなかった。
稲荷社の鳥居のところにある休憩所のような建物の向こうの少し低い位置にもうひとつ大きな社があるのに気がついた。
だがこちらには行けてないのが後から思うと残念、たぶん二棟ありとはこの事を指すのだと思われる。
集落より気軽に歩いていけるという場所ではないが、全体的に社域や社殿が非常に良く手入れされていて頭の下がる思い。
神社というよりも公園のような雰囲気の社域で素晴らしいと感じた。
小代庄の中心地だったことは間違いないが古代山陰道にも関係があると思われる神社。
注意点
山深い場所なので獣に注意。
訪問ノート
訪問日 :2019/8/17
交通手段:クルマで訪問
カメラ :RX100M3
各種式内社データへのリンク
御祭神等の詳細データは以下をご参照ください。