276-010_韓國神社

比定社:韓國神社

式内社コード:276-010
神名帳社名 :物部神社、モノノヘノ
社    格:小
所 在 地 :669-6112 兵庫県豊岡市城崎町飯谷250-1
Plus Code  :JR5M+F8 豊岡市、兵庫県
※Google Mapで上記の Plus code を検索すると所在地が表示されます。

アプローチ&ロケーション

「からくにじんじゃ」と読む、地名の飯谷は「はんだに」と読む。
飯谷集落の東の端の山裾に鎮座。
兵庫県道9号豊岡竹野線の円山川にかかる城崎大橋を東へ渡り飯谷川を左に見ながら進む。
飯谷集落の手前で県道は小さな橋を渡り左(東)で飯谷峠方面へ向かうが直進し集落の中を進む。
橋より300メートルほどで左(東)入ると120メートルほどで到着。
集落中の道路は狭小で橋を曲がりながら渡るのが難しいので注意。
駐車場は無いので注意。

訪問しやすさ指数

管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。

【秘境3】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル

【交通3】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける

【徒歩1】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易

【探索4】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル

ハイライト

大和より遠く離れた地での物部氏の影響。

写真

韓國神社を正面より望む。
韓國神社を正面より望む。
右側(西)を望む。見えている家々が飯谷集落。この道はかつて飯谷峠への道だったと思われる。
右側(西)を望む。見えている家々が飯谷集落。この道はかつて飯谷峠への道だったと思われる。
正面(北西)を望む。現在はこの山の向こうに兵庫県道9号豊岡竹野線が走っており飯谷峠を越えることができる。
正面(北西)を望む。現在はこの山の向こうに兵庫県道9号豊岡竹野線が走っており飯谷峠を越えることができる。
左側(東)を望む。かつてはこの道で飯谷峠を越えていたのだろう。
左側(東)を望む。かつてはこの道で飯谷峠を越えていたのだろう。
両部鳥居を望む。昭和2年(1927年)の2回めの遷座でこの地へ遷座したとある。
両部鳥居を望む。昭和2年(1927年)の2回めの遷座でこの地へ遷座したとある。
社標には、韓國神社・元物部神社・御祭神は物部韓國連真鳥命・城崎郡司物部韓國連懇麿命・當地方開拓の祖神なりとある。式内社の表示は無い。
社標には、韓國神社・元物部神社・御祭神は物部韓國連真鳥命・城崎郡司物部韓國連懇麿命・當地方開拓の祖神なりとある。式内社の表示は無い。
手水舎。
手水舎。
両部鳥居をくぐると正面に拝殿。
両部鳥居をくぐると正面に拝殿。
縦に細長い社域となっており右側には何もない。
縦に細長い社域となっており右側には何もない。
左側には参集殿のような建物がある。
左側には参集殿のような建物がある。
拝殿を正面より望む。拝殿は波板とシートで雪よけが施されている。
拝殿を正面より望む。拝殿は波板とシートで雪よけが施されている。
氏子中謹製の遷社碑。昭和に造られた碑なのに全て漢字で表示されている。
氏子中謹製の遷社碑。昭和に造られた碑なのに全て漢字で表示されている。
拝殿は立派なもの。きちんと管理されているのが分かる。
拝殿は立派なもの。きちんと管理されているのが分かる。
拝殿は風雪で色褪せてしまっている。昭和2年(1927年)の建築と思われる。
拝殿は風雪で色褪せてしまっている。昭和2年(1927年)の建築と思われる。
拝殿と覆屋に入った本殿を右側より望む。
拝殿と覆屋に入った本殿を右側より望む。
覆屋に入った本殿を右側より望む。立派な覆屋、本殿は残念ながら見ることができない。
覆屋に入った本殿を右側より望む。立派な覆屋、本殿は残念ながら見ることができない。
覆屋に入った本殿の左奥より拝殿を望む。
覆屋に入った本殿の左奥より拝殿を望む。
拝殿より両部鳥居を望む。
拝殿より両部鳥居を望む。
両部鳥居越しに正面を望む。
両部鳥居越しに正面を望む。

感想

韓國神社社標によると

韓國神社
元物部神社
御祭神
 物部韓國連真鳥命
 城崎郡司物部韓國連懇麿命
 當地方開拓の祖神なり

とある。


氏子中謹製の遷社碑によると

韓國神社者舊在當區字宮津明治四十二年十一月偶區内失火社殿及山林悉歸為有唯幸両神禮者頼楽々浦岩﨑石柗得無事明年十一月區民一致建本殿上歴等社掌髙田伊織諸官昇格為幣帛供進指定神社昭和二年三月奥丹後降大震災及此地山林崩壊埋没殿宇無復舊態於是遷社之議起社掌髙田恭博質諸神既遂卜此地移焉境内凡三百六歩其二百三十餘歩依左記奉納既得翌年二月将起工寄進氏子浄財且助役十一月告戌今之社殿及拜殿是也總工費七千餘圓其壹千四百圓縣之補助而専岩本吉兵衛之畆斡旋也従役者總七百餘人於此得氏子始安堵永誓無災過建碑如是時昭和四年一月吉辰 城崎神宮山口新一郎謹撰並書
當區氏子中

とある。


「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る(追加修正あり)。

ご祭神は、物部韓国連命。
白鳳3年(674年)物部韓国連鵠がこの地に祀られる(修正)。
明治6年(1873年)村社。
明治42年(1909年)社殿焼失。
大正元年(1912年)再建
昭和2年(1927年)北丹後地震で現在地ヘ移転。

古くは飯谷川の上流、通称「森さん」に鎮座。
その後、現在地から700m奥の宮ノ下に遷座。
昭和2年3月7日北丹後地震で現在地ヘ移転。

江戸時代までは「宸旦国大明神」と呼ばれていた。

武烈天皇の命をうけて韓国に使した物部真鳥(マトリ)は任務を果して但馬の三島の水門(現在の楽々浦)に着き、都に上つて使命を復奏した。
真鳥はこの功績によつて韓国連を賜わり、以後物部韓国連真鳥と称したという。
さらにその子、渚鳥(ストリ)は欽明天皇の時代に現在の飯谷付近を開発したといわれ、飯谷の名は墾谷から起こるという。
天武天皇白鳳3年、物部韓国連鵠によつて祖父真鳥、父渚鳥がこの地に祀られた。

とある。


当地は、飯谷川に沿った谷筋にあたり、川筋は下流で楽々浦(ささうら)となり円山川に接続する。
楽々浦は円山川に接続する最下流の湖となるため、津居山湾に入った船が楽々浦に入ることも多かったのではないだろうか。
豊岡の日本海側の海運の玄関口だったと思える場所。
対大陸という意味では但馬や丹後は最前線だったのだろう。
飯谷は陸路としても東西南北が通じていて、かつては意外と便利な場所だったのかもしれない。

韓國神社のご祭神は、物部韓國連真鳥命で本拠地は大和だと思われるが、勅命により半島へ派遣された関係でこの地に祀られたようだ。
しかし当時の豪族の行動範囲が広いことには驚かされる、真鳥の子孫は大和から遠く離れた当地を開拓したようだ。

韓國神社へのアプローチは非常に難しい。
兵庫県道9号豊岡竹野線の円山川にかかる城崎大橋を東へ渡り飯谷川を左に見ながら進む。
飯谷集落の手前で県道は小さな橋を渡り左(東)で飯谷峠方面へ向かうが直進し集落の中を進む。
飯谷集落の中の道は狭小ですれ違いが出来ない道、加えて韓國神社へは飯谷川を渡る必要がある。
小さな橋が掛かっているのだが、道幅が狭いために橋に曲がりこむのに難儀する、大きなクルマでは難しい。
道路の広い所に駐車して徒歩でのアプローチが良いかもしれない。
飯谷集落より東へ曲がると1本道となっていて、神社の駐車場は無いが周辺に駐車可能。

現在の韓國神社は気比へ通じる飯谷峠への谷筋に鎮座していて神社前がその道だったと思われる。
かつての韓國神社の鎮座地は、飯谷川に沿った上流部にあったようだが2度ほど遷座している。

韓國神社の社域は道路沿いに両部鳥居・社標・石燈籠が西向きに建っている。
社域は広くないが緩い斜面に建物が配置されている。
社殿は拝殿と覆屋に入った本殿で構成されており、雪深い地域なだけに厳重な囲いがある。
社殿は遷座した際の昭和2年(1927年)の建築だが風雪に晒されて色が褪せている。
本殿は厳重な覆屋で全く見ることができないのが残念だ。

韓國神社という神社名は由緒からすると全く関係無いわけではない。
どちらかと言うと、やはり物部のほうが相応しいと思える。

実質的には物部一族を祀る韓國神社。

注意点

集落の中の道は狭小なので注意。

訪問ノート

訪問日 :2022/1/16
交通手段:クルマで訪問
カメラ :α7M3 + FE16-35mm F2.8 GM

各種式内社データへのリンク

御祭神等の詳細データは以下をご参照ください。

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