310-030_高岳神社

比定社:高岳神社

式内社コード:310-030
神名帳社名 :高岳神社、タカミクラ/タカヲカノ
社    格:小
所 在 地 :670-0061 兵庫県姫路市西今宿8-5-8
Plus Code  :RMX6+9R 姫路市、兵庫県
※Google Mapで上記の Plus code を検索すると所在地が表示されます。

アプローチ&ロケーション

「たかおかじんじゃ」と読む、地名の西今宿は「にしいまじゅく」と読む。
姫路城から直線距離で西に3kmほどの振袖山(蛤山)の南端に鎮座。
JR姫新線播磨高岡駅の北800メートルほどの場所。
社務所のある東側が神社入口で東に100メートルほどの参道が続いている。
駐車場は西側から回り込む形になる。

訪問しやすさ指数

管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。

【秘境2】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル

【交通2】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける

【徒歩1】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易

【探索2】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル

ハイライト

高岳神社と蛤岩の関係

写真

ありがたいことに高岳神社には駐車場が完備されている。写真正面の西側からクルマで入ってくる。左手前の東側に階段があり降りると社務所がある。
ありがたいことに高岳神社には駐車場が完備されている。写真正面の西側からクルマで入ってくる。左手前の東側に階段があり降りると社務所がある。
石段を登ると社殿だが周囲は岩がゴロゴロというよりも岩山そのものに社殿があるという感じだ。
石段を登ると社殿だが周囲は岩がゴロゴロというよりも岩山そのものに社殿があるという感じだ。
拝殿の後ろに本殿、その後ろにも巨大な岩。
拝殿の後ろに本殿、その後ろにも巨大な岩。
拝殿の右側より本殿を望む。岩山の斜面に建っているのが分かる。
拝殿の右側より本殿を望む。岩山の斜面に建っているのが分かる。
本殿を右側より望む。岩山そのものにこうした社殿を造営するのは大変だったのではないかと想像できる。
本殿を右側より望む。岩山そのものにこうした社殿を造営するのは大変だったのではないかと想像できる。
拝殿を左側より望む。大きくて立派、状態も良い、造営時期は分からない。
拝殿を左側より望む。大きくて立派、状態も良い、造営時期は分からない。
拝殿のしめ縄。出雲系なのだろうか?
拝殿のしめ縄。出雲系なのだろうか?
拝殿の扁額には高岳神社とある。
拝殿の扁額には高岳神社とある。
拝殿の左側には休憩所のような建物。
拝殿の左側には休憩所のような建物。
本殿の左側より登ると蛤岩。
本殿の左側より登ると蛤岩。
蛤岩はご神体というわけではなさそうだ。
蛤岩はご神体というわけではなさそうだ。
蛤岩は西向き、右に見える拝殿と本殿は南向き。参道は東へ伸びていてなかなか不思議な配置。
蛤岩は西向き、右に見える拝殿と本殿は南向き。参道は東へ伸びていてなかなか不思議な配置。

感想


英賀神社の高岳神社Webサイトによると

御祭神 仲哀天皇・応神天皇・崇道天皇・事代主神・猿田彦神・住吉大神・伊豫親王・光明皇后・宇賀魂命・市杵島姫命・水分神

当神社は延喜式内社で、古来播磨国「五の宮」として崇められ、皇室を始め国司領主武将の尊信極めて厚く、その由緒の古く正しいことにおいては国内屈指の古社です。
延暦元年(782)に征夷大将軍坂上田村麻呂は幣帛を奉って武運を祈り、寛元年中には鎌倉幕府執権北条経時が、家人の佐貫十郎を遣わし、銀貨一包・太刀一口を献じて祈雨祭を行っています。
また播磨国守護赤松氏を始め、姫路城主松平侯、酒井侯は何れも神殿を供し、走馬を献じ、社殿を造修し、神供料を献納するなど、敬神以て民生の安定、郷土の進展を図っており、地方の衆庶も深く尊信の至誠を致した。
このように由緒尊い神社であることから、明治45年に兵庫県より神饌帛料供進社に指定され、されに昭和7年には県社に昇格しました。
この聖域の中心である巨大な霊岩は世に蛤岩と称せられている。
ある時、土地の人がこの岩上で蛤を拾い、福徳長寿の幸を得たので、このように名付けられたそうです。
この巨岩の頂上には一つのくぼみがあって、四季を通じ常に霊水をたたえ、しかもこの水が干満と共に満ち引きする、という神秘が伝えられています。

とある


「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る(追加修正あり)。

ご祭神は、応神天皇・仲哀天皇・崇道天皇・事代主命・猿田彦神・住吉大神・伊予親王・藤原夫人・宇賀魂神・市杵島姫神・水分神。

初め辛室郷高岳鳶ケ巣に鎮座。
延麿元年(782年)坂上田村麻呂幣帛を奉る。
天長3年(826年)9月9日現在の蛤山に遷。
寛元年中(1243~1247年)執権北條経時祈雨祭を行なわしめる。
天文元年(1532年)赤松政則本殿を修復。
寛永18年(1641年)姫路城主松平下総守神供料を寄附。
明治7年(1874年)2月郷社。
明治45年(1912年)3月27日神饒幣帛料供進神社指定。
昭和7年(1932年)9月県社。

江戸時代までは「高岳大明神」・「三社天皇五社大明神」と呼ばれていた。

初め辛室郷(後、安室郷、風土記韓室里)新在家村(姫路市新在家)の高岳(八畳岩)の鳶ケ巣に祀つていたのを、天長3年(826年)9月9日現在の蛤山に奉遷し、神社社殿を創祀した。
当初、応神天皇以下五柱を祀つていたが、後世、住吉大神以下三柱を合せ祀り、更に明治に入つて宇賀魂以下三柱を合祀した。

とある。


兵庫県神社庁によると。

主祭神:仲哀天皇(チュウアイテンノウ)
配祀神:応神天皇(オウジンテンノウ)・崇導天皇(スダウチノテンノウ)・事代主命(コトシロヌシノミコト)・猿田彦神(サルタヒコノカミ)・住吉大神(スミヨシノオオカミ)・伊豫親王(イヨシンノウ)・光明皇后(コウミョウコウゴウ)・宇賀魂命(ウカノミタマノミコト)・市杵島姫命(イチキシマヒメノミコト)・水分神(ミクマリノカミ)

由緒:
 当神社は延喜式内社で、古来播磨国「五の宮」として崇められ、皇室を始め国司領主武将の尊信極めて厚く、その由緒の古く正しいことにおいては国内屈指の古社である。延暦元年(782)に征夷大将軍坂上田村麻呂は幣帛を奉って武運を祈り、寛元年中には鎌倉幕府執権北条経時が、家人の佐賀十郎を遣わし、銀貨一包・太刀一口を献じて祈雨祭を行った。また播磨国守護赤松氏を始め、姫路城主松平候、酒井候は何れも神田を供し、走馬を献じ、社殿を造修し、神供料を献納するなど、敬神以て民生の安定、郷土の進展を図っており、地方の衆庶も深く尊信の至誠を致した。このように由緒尊い神社であることから、明治45年(1970)に兵庫県より神饌幣帛料供進社に指定され、さらに昭和7年(1932)には県社に昇格した。

 この聖域の中心である巨大な霊岩は世に蛤岩を称せられている。ある時、土地の人がこの岩上で蛤を拾い、福徳長寿の幸を得たので、このように名付けられたそうである。この巨岩の頂上には一つのくぼみがあって、四季を通じ常に霊水をたたえ、しかもこの水が干満と共に満ち引きする、という神秘が伝えられている。

とある。


高岳神社のある当地は、播磨平野(姫路平野とも)の西、夢前川の東岸で街道や水運に恵まれた地域。
現在地は西を流れる夢前川までは直線で西へ1.5kmほど、東にある姫路城までは直線距離で3km弱の振袖山(蛤山)の南端に当たる場所。
周囲には今宿遺跡がある(兵庫県考古博物館資料による)。
すぐ南には旧山陽道が通じていたと思われる。
当初は八丈岩山(東へ1.8kmほど)に鎮座しており、延麿元年(782年)に坂上田村麻呂幣帛の記録が残る。
その後、天長3年(826年)に現在地である蛤山に遷座しているがその理由は不明だ。

高岳神社のご祭神は、応神天皇・仲哀天皇・崇道天皇・事代主命・猿田彦神・住吉大神・伊予親王・藤原夫人・宇賀魂神・市杵島姫神・水分神。
これだけのご祭神を祀った経緯は、当初に応神天皇以下五柱を祀っていたが、後世に住吉大神以下三柱を合せ祀り、更に明治に入つて宇賀魂以下三柱を合祀したとある。
現在のご祭神からは感じ取れないがこの神社も新羅の影響があったのではないかと思われる(個人的見解です)。

高岳神社へのアプローチは振袖山(蛤山)を目指していけば良いのだが駐車場へは西から回り込む形になる。
だが社務所は東側にあり、さらに社務所より参道が100メートルほど東に伸びている。
社殿は南向け、参道は東へ伸びていて、本殿裏手の蛤岩は西向き、となっていて興味深い。

駐車場から社殿を見上げると巨大な岩山の南斜面にあることがよく分かる。
周囲は磐座がたくさんというよりも岩山に鎮座していると言ったほうが正確かもしれない。
社殿は拝殿と本殿ともに新しく立派、岩山の斜面なので造営時の苦労が偲ばれる。

本殿の後ろに登れば蛤岩と呼ばれている霊石がある(ご神体ではないようだ)。
高岳神社と蛤岩の関係は不明だが、こうした巨石が市街地に近い場所にあるのは珍しい。
高岳神社はどうしても巨石が目立ってしまうが、個人的には振袖山(蛤山)より街道筋や夢前川の水運を監視するという機能があったのかもしれないと思っている。

播磨平野の西側を押さえる交通の要衝に立つ神社。

注意点

蛤岩に登るには急斜面なので注意されたし。

訪問ノート

訪問日 :2019/2/17
交通手段:クルマで訪問
カメラ :RX100M3