276-110_兵主神社(豊岡市赤石)

比定社:兵主神社(豊岡市赤石)

式内社コード:276-110
神名帳社名 :兵主神社
社    格:小
所 在 地 :668-0801 兵庫県豊岡市赤石1861
Plus Code  :HRP6+FC 豊岡市、兵庫県
※Google Mapで上記の Plus code を検索すると所在地が表示されます。

アプローチ&ロケーション

「ひょうずじんじゃ」と読む、地名の赤石は「あかいし」と読む。
赤石集落の北東の山の中腹に鎮座。
兵庫県道548号楽々浦玄武洞豊岡線沿いにある玄武洞ミュージアムの南800メートルほどより東へ赤石集落へ入る。
突き当りを左(北)へ行くとすぐに一の鳥居と社標があるので分かりやすい。
一の鳥居より徒歩で15分ほど歩く必要がある。
駐車場はないので注意。

訪問しやすさ指数

管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。

【秘境3】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル

【交通2】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける

【徒歩3】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易

【探索2】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル

ハイライト

集落との位置関係。
現地に行かないと分からない兵主神社住吉大明神という神社名。

写真

兵主神社(豊岡市赤石)を正面より望む。赤石集落の中に神社入り口があり立派な石灯籠・社標、一の鳥居がある。
兵主神社(豊岡市赤石)を正面より望む。赤石集落の中に神社入り口があり立派な石灯籠・社標、一の鳥居がある。
右側(南)を望む。兵庫県道548号楽々浦玄武洞豊岡線から赤石集落へ入ってくるとこの方向から来ることになる。
右側(南)を望む。兵庫県道548号楽々浦玄武洞豊岡線から赤石集落へ入ってくるとこの方向から来ることになる。
正面(西)を望む。柵のあるところが兵庫県道548号楽々浦玄武洞豊岡線、その向こうは円山川。このあたりの標高は思っている以上に低く1.6mほどだ。
正面(西)を望む。柵のあるところが兵庫県道548号楽々浦玄武洞豊岡線、その向こうは円山川。このあたりの標高は思っている以上に低く1.6mほどだ。
左側(北)を望む。ガードレールの向こうは兵庫県道548号楽々浦玄武洞豊岡線。800メートルほど北側に玄武洞ミュージアムがある。ちなみにここに駐車すると迷惑になるのでバス停のある広場に駐車させていただくのが良い。
左側(北)を望む。ガードレールの向こうは兵庫県道548号楽々浦玄武洞豊岡線。800メートルほど北側に玄武洞ミュージアムがある。ちなみにここに駐車すると迷惑になるのでバス停のある広場に駐車させていただくのが良い。
兵庫県道548号楽々浦玄武洞豊岡線から入ってくると建物の向こうから入ってくる。ここが赤石のバス停で広場になっていて、ここに駐車させていただいた。
兵庫県道548号楽々浦玄武洞豊岡線から入ってくると建物の向こうから入ってくる。ここが赤石のバス停で広場になっていて、ここに駐車させていただいた。
一の鳥居をくぐり集落の中の道を徒歩で進む。谷筋になっているのが分かる。
一の鳥居をくぐり集落の中の道を徒歩で進む。谷筋になっているのが分かる。
しばらく歩くと2手に分かれている場所を右へ進む。
しばらく歩くと2手に分かれている場所を右へ進む。
古い石積みの間を登る。擁壁が見えてくる。
古い石積みの間を登る。擁壁が見えてくる。
擁壁の切れ目に獣よけの門扉。開けたら必ず閉めること。
擁壁の切れ目に獣よけの門扉。開けたら必ず閉めること。
石段をしばらく登ると竹林の中に鳥居が見えてくる。
石段をしばらく登ると竹林の中に鳥居が見えてくる。
2つの鳥居がある、ちょっと不思議な配置。
2つの鳥居がある、ちょっと不思議な配置。
石灯籠には文化9年(1812年)とある。
石灯籠には文化9年(1812年)とある。
鳥居をくぐると正面に社殿。扁額には若宮神社とある。
鳥居をくぐると正面に社殿。扁額には若宮神社とある。
右側の鳥居の向こうに石段が続いている。
右側の鳥居の向こうに石段が続いている。
右側の鳥居をくぐると古木が多く残っていて良い感じの社叢が広がる。
右側の鳥居をくぐると古木が多く残っていて良い感じの社叢が広がる。
社域は苔むしていて独特の雰囲気がある。
社域は苔むしていて独特の雰囲気がある。
石段の右側が谷筋のようだ。苔むした岩が点在し良い雰囲気。地名の赤石の由来は赤い石がたくさんあったことからと言われているが苔むしていて分からない…。
石段の右側が谷筋のようだ。苔むした岩が点在し良い雰囲気。地名の赤石の由来は赤い石がたくさんあったことからと言われているが苔むしていて分からない…。
石段をしばらく登ると社殿が見えてくる。
石段をしばらく登ると社殿が見えてくる。
こちらの石灯籠には天明8年(1788年)とある。
こちらの石灯籠には天明8年(1788年)とある。
石段を突き当たりまで登ると左手に社殿。谷の斜面に作られているのが分かる、石積みが古そう。扁額には兵主神社住吉大明神とある。いつの時代にか兵主神と住吉神が合わさったようだ。
石段を突き当たりまで登ると左手に社殿。谷の斜面に作られているのが分かる、石積みが古そう。扁額には兵主神社住吉大明神とある。いつの時代にか兵主神と住吉神が合わさったようだ。
社殿を左側より望む。周囲は木々が伐採されて日が差し込んで明るい。
社殿を左側より望む。周囲は木々が伐採されて日が差し込んで明るい。
覆屋の中の本殿を望む。いつの時代に作られたのか詳細は不明だが非常によい状態。大事にされている様子が見て取れる。
覆屋の中の本殿を望む。いつの時代に作られたのか詳細は不明だが非常によい状態。大事にされている様子が見て取れる。
本殿の左右に鎮座する小さな狛犬さん。
本殿の左右に鎮座する小さな狛犬さん。
社殿前より正面を望む。
社殿前より正面を望む。
社殿前より鳥居を望む。正面に倉庫のような建物がある。
若宮神社前より鳥居を望む。不思議な景色だ。
若宮神社前より鳥居を望む。不思議な景色だ。
鳥居より参道を望む。
鳥居より参道を望む。
参道より獣避け門扉を望む。集落に降りてきた。
参道より獣避け門扉を望む。集落に降りてきた。

感想

由緒書はないので詳細不明。


「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る。

ご祭神は、速須佐之男命。

白鳳12年(683年、諸説あり)韓国連久々比が創祀(修正)。
明治6年(1873年)村社。

白鳳12年(683年、諸説あり)閏4月、韓國連久々比が兵庫(兵馬や武器の庫)の守護として赤石の丘に祀った。
この地はかって非常な湿田地帯であつた。赤石の集落は山脚部の小さな谷に密集し、兵主神社はその谷の最奥部に、集落を見下ろすように鎮座している。
兵庫県神社では武内兵主神社と表記する。

とある。


兵庫県神社庁によると

武内兵主神社(タケウチヒョウズジンジャ)

主祭神:速須佐之男命(スサノオノミコト)

創祀年代は不詳ではあるが、白鳳12年、韓国連久々比が兵庫(兵馬や武器の庫)の守護として赤石の丘に祀ったと云われている。

とある。


”白鳳12年(683年、諸説あり)閏4月、韓國連久々比が兵庫(兵馬や武器の庫)の守護として赤石の丘に祀った。”
とある。
気多郡の兵庫では
“孝徳天皇大化3年(647年)、気多郡の軍団に兵庫を設けてその鎮守として祀られた”
とあるので、それよりも少し後のことだ。

兵庫とは、「ひょうご」「へいこ」「つわものぐら」と読むようだ。
文字通り、兵器を格納しておく倉や倉庫、つまり兵器庫のこと。
その兵器庫に兵主神(大巳貴命や素戔嗚命)を祀ったという内容になっている。

兵器庫が必要だということは、そのあたりが紛争中あるいは紛争が起きるかもしれない地域なのだろう。
有事の際に素早く対応しようと思えば、現場に近い場所に兵士と兵器を用意すると思う。
そこで、延喜式神名帳に出てくる「兵主神社」を抜き出してみると次のような結果になった。
大和国・城上郡・018-030・穴師坐兵主神社 ・名神大月次新嘗_相嘗
大和国・城上郡・018-230・穴師大兵主神社 ・小
和泉国・和泉郡・037-050・兵主神社    ・小
三河国・賀茂郡・076-030・兵主神社    ・小
近江国・野洲郡・152-040・兵主神社    ・名神大
近江国・伊香郡・159-170・兵主神社    ・小
丹波国・氷上郡・264-110・兵主神社    ・小
但馬国・朝来郡・272-040・兵主神社    ・小
但馬国・養父郡・273-090・兵主神社    ・小
但馬国・養父郡・273-230・更杵村大兵主神社・小
但馬国・出石郡・274-130・大生部兵主神社 ・小
但馬国・気多郡・275-070・久刀寸兵主神社 ・小
但馬国・城崎郡・276-110・兵主神社    ・小
但馬国・城崎郡・276-130・兵主神社二座  ・小
因幡国・巨濃郡・280-050・佐弥乃兵主神社 ・小
因幡国・巨濃郡・280-070・許野乃兵主神社 ・小
播磨国・飾磨郡・310-010・射楯兵主神社二座・小
播磨国・多可郡・317-020・兵主神社    ・小
壱岐島・壱伎郡・422-050・兵主神社    ・名神大

これを見ると但馬国は他の国に対して突出して多いことが分かる。
他の国は多くても2つ、但馬国は7つある、これはもう異常事態だと言えるだろう。
但馬国が緊張状態にあったのだと推測できる(個人的見解です)。

ちなみに現在の兵庫県という名前はこの「兵庫(つわものぐら)」を由来としているそうだ。

式内社の兵主神社の分布をプロットしたもの。三河国・近江国の各1ヶ所づつは場所が特定できずプロット無し。壱岐島も除外した。紛争地域!?は兵庫県北部に集中している。
同じく式内社の兵主神社の分布をプロットしたものの但馬国のアップ。ほぼ円山川沿いの朝来から豊岡あたりに集中している。大和朝廷へ最後まで従わない氏族や地域があったのだろうか。
個人的に、兵主神社というのはなかなか実像が非常に掴みにくい神社ではある。

兵主神社(豊岡市赤石)のある当地は、早くから開けた土地だったようだ。
周囲には、上ノ谷古墳・下谷古墳や三ツ家谷寺院址・三ツ家谷城址などが残っている。
また、当地も豊岡の例外にもれず標高が低い、一の鳥居と社標がある場所はわずか1.6mほど。
かつて円山川の水位が高かった時代には集落の奥のほうまで水が入っていたことが容易に想像できる。
だから、集落の奥の山の中腹にあるのだなと納得した。

兵主神社(豊岡市赤石)のご祭神は、速須佐之男命である、兵主神社として自然な感じだ。

兵主神社(豊岡市赤石)へのアプローチは分かりやすい。
おおまかな目印としては「玄武洞ミュージアム」を目指していけば良い。
「玄武洞ミュージアム」の南800メートルほどで東に赤石集落へ入る。
入ってすぐにT字路、バス亭があり少し広くなっているのでここに駐車させていただいた。
鳥居と社標はすぐそこに見えている。

西を向いた一の鳥居と社標の場所から赤石集落の中を徒歩で進む。
しばらく行くと、道が二手に分かれる場所に行き当たる、ここは右を進む。
古そうな石積みの間をさらに進むと擁壁の間に階段が見える。
階段には獣よけの門扉があるので、開けたら必ず閉めること。
石段をしばらく登ると面白い景色が広がる。
鳥居が2つあり、各々別の方向を向いていてなんだか不思議な空間を作っている。
よく見ると左上の小高い場所には若宮神社と書かれた社。
兵主神社(豊岡市赤石)へは、2つ目の鳥居をくぐり、右側の3つ目の鳥居をくぐった先になる。
3つ目の鳥居をくぐると苔むした石がゴロゴロした谷筋となっていて良い雰囲気だ。
石段を登りきると突き当りを左に向くと南を向いた社殿がある。
ここまで集落入口の一の鳥居からは15分ほど歩くことになる。

社殿は谷の斜面上に建っており社殿の上の方は木々が伐採されて日が入り明るい。
覆屋の正面に掛かる扁額には兵主神社住吉大明神とある。
住吉神は記録には全く現れないが、いつの時代か不明だが合わせて祀られたのだろう。
ひょっとしたら、前述のように標高が低い地域のため、かなり最近まで川が近くまで来ていたのかもしれない。
こうしたことから住吉神が祀られるようになったのではないだろうか(個人的見解です)。

本殿は覆屋に入っていて大きくはないが組物・彫り物が施され豪華な印象。
本殿正面には四つ花菱のご神紋が付いている、比較的新しいのか状態は非常に良い。

兵主神社(豊岡市赤石)には、例祭にて「千本もちつき」が伝えられている。
また若宮神社には「潮垣(しおがき)」のお話が伝わっている。

いつの頃からか兵主神社と住吉神が結びついた円山川沿いの神社。

注意点

駐車場は無いので注意。

訪問ノート

訪問日 :2022/5/16
交通手段:クルマで訪問
カメラ :α7M3 + FE16-35mm F2.8 GM、α7M3 + 24-70mm F2.8 DG DN | Art 019

各種式内社データへのリンク

御祭神等の詳細データは以下をご参照ください。

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