268-020_物部神社(与謝郡与謝野町)

比定社:物部神社(与謝郡与謝野町)

式内社コード:268-020
神名帳社名 :物部神社、モノノヘノ
社    格:小
所 在 地 :629-2303 京都府与謝郡与謝野町石川2013
Plus Code  :G4QM+GJ 与謝野町、京都府
※Google Mapで上記の Plus code を検索すると所在地が表示されます。

アプローチ&ロケーション

「もののべじんじゃ」と読む、地名の石川は「いしかわ」と読む。
与謝野町石川の集落の東の山の中腹に鎮座。
国道176号線より1本東の集落の中を走る道沿いに一の鳥居と社標があるので分かりやすい。
一の鳥居より神社までは300メートルほど細い道なので注意が必要。
駐車スペースがあり獣よけのフェンスがあるので開けたら必ず閉めること。
100メートルほどの石段の参道。

訪問しやすさ指数

管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。

【秘境4】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル

【交通3】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける

【徒歩3】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易

【探索2】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル

ハイライト

普段はあまり人が入らないちょっとした山の中の秘密のお社という雰囲気。

写真

物部神社の入口を望む。ここから約300メートル行くと神社へ登る階段がある。狛犬や社標、石灯籠はかなり古いようだ。
物部神社の入口を望む。ここから約300メートル行くと神社へ登る階段がある。狛犬や社標、石灯籠はかなり古いようだ。
社標には式内とある。
社標には式内とある。
鳥居にかかる扁額。「正二位清原宣光公」の落款のある書とある。
鳥居にかかる扁額。「正二位清原宣光公」の落款のある書とある。
アプローチをクルマで行けるところまで行くと神社への石段がある。
アプローチをクルマで行けるところまで行くと神社への石段がある。
階段を上がると獣よけのフェンスがある。フェンスは開けたら必ず閉めること。
階段を上がると獣よけのフェンスがある。フェンスは開けたら必ず閉めること。
フェンスを振り返るとこんな感じ。クルマは広場に駐車可能。
フェンスを振り返るとこんな感じ。クルマは広場に駐車可能。
フェンスを過ぎると長い階段が待っている。なかなか秘境感があって良い感じ。
フェンスを過ぎると長い階段が待っている。なかなか秘境感があって良い感じ。
長い階段を上がり切ると広場の向こうに本殿が見えてくる。
長い階段を上がり切ると広場の向こうに本殿が見えてくる。
本殿の前には土俵がある。なんだか少し小さいので祭りのイベント用なのかもしれない。
本殿の前には土俵がある。なんだか少し小さいので祭りのイベント用なのかもしれない。
右手には少々変わった形の石灯籠がある。残念ながら年代は見るのを失念した。
右手には少々変わった形の石灯籠がある。残念ながら年代は見るのを失念した。
本殿は広場よりも1段高くなっている。建物はこれだけなので広くはない。
本殿は広場よりも1段高くなっている。建物はこれだけなので広くはない。
覆屋に入った本殿を左から望む。キチンとメンテナンスしてある。
覆屋に入った本殿を左から望む。キチンとメンテナンスしてある。
覆屋の中の本殿を望む。本殿の状態はまずまず良い状態でそれほど大きくはないが装飾が少しだけ施されている。
覆屋の中の本殿を望む。本殿の状態はまずまず良い状態でそれほど大きくはないが装飾が少しだけ施されている。
本殿を右側から望む。
本殿を右側から望む。
本殿を左側から望む。本殿の扁額には物部大明神とある。
本殿を左側から望む。本殿の扁額には物部大明神とある。
神社謹製の由緒書。ご祭神は宇麻志麻遅命(一説に蘇我石川宿祢命)、本殿は江戸中期(西暦1730~1740年)に造営とある。
神社謹製の由緒書。ご祭神は宇麻志麻遅命(一説に蘇我石川宿祢命)、本殿は江戸中期(西暦1730~1740年)に造営とある。
本殿より土俵を望む。石灯籠が建っている場所が参道の階段を上がってきたところ。
本殿より土俵を望む。石灯籠が建っている場所が参道の階段を上がってきたところ。
広場より参道の階段を望む。石段の状態は非常に良い。
広場より参道の階段を望む。石段の状態は非常に良い。

感想

神社謹製の由緒書によると

(式内)物部神社(しきない もののべじんじゃ)
 この社(やしろ)は、平安(へいあん)時代の初め(西暦九〇〇年頃)醍醐(だいご)天皇の命(めい)によってつくられた延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)に登録(とうろく)されている由緒(ゆいしょ)ある式内神社(しきないじんじゃ)であります。
 神殿(しんでん)は江戸(えど)中期(一七三〇~一七四〇)に造営(ぞうえい)されたといわれているもので、その形式は権現造向拝付(ごんげんつくりこうはいつき)で欅材(けやきざい)でつくられており、屋根(やね)は榑葺(くれふき)の建物(たてもの)です。
「祭神(さいじん)」は「宇麻志麻遅命(うましまぢのみこと、一説に蘇我石川宿禰命、そがいしかわすくねのみこと)」「ご神体は」「神鏡(しんきょう)」です。「神像(しんぞう)」は左大臣(さだいじん)・右大臣(うだいじん)の木彫坐像(きほりざぞう)と記されていますが現存(げんぞん)していません。
 神殿正面の「物部大明神(もののべだいみょうじん)」の額(がく)は天明五年(てんめい、一七八五)「日野資枝」の筆によるもので、元(もと)は鳥居(とりい)にあがっていたものです。
参道(さんどう)の鳥居(とりい、横3.7メートル×高4.3メートル)は、文化一〇年(ぶんか、一八一四)に建立(こんりゅう)されたものであり掲(かか)げてある扁額(へんがく)「物部社」は「正二位清原宣光公(しょうにいきよはらのぶみつ)」の落款(らっかん)のある書と記されています(平成七年三月修理中)。
 祭事(さいじ)は、毎年四月二十五日石川区合同の祭礼(さいれい)が行われ当社より神楽(かぐら)・獅子舞(ししまい)・太刀振り(たちふり)・笹囃踊(ささばやしおど)の行列が宮司・神社総代・区役員を先頭にして上・中・下地々区屋台(やたい)とともに大宮神社まで巡行(じゅんこう)します。
 尚当社では秋に「社日祭(しゃにち)」を行い農作物の「豊じょう(ほう)」を感謝します。

とある。

「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る(追加修正あり)。

ご祭神は、宇摩志麻遅命。
承暦4年(1080年)御トにより中祓。
明治6年(1873年)村社。
この地は物部氏の田莊のあつたところで、物部氏は、今の野田川町今川を原籍地(本貫)として領有しており、この地に祖神を祭つたのである。

とある。

当地、与謝野町石川は古代の物部郷とされている。
丹後国与謝郡には7つの郷(宮津郷・日置郷・拝師郷・物部郷・山田郷・謁叡郷・神戸郷)があった。
中世には、石川荘とされ荘園となっていた。

物部神社を見つけるのは比較的簡単だ。
国道176号線より1本東の集落の中を走る道沿いに一の鳥居と社標がある。
鳥居を東へ入り300メートルほど農道を走ると行き止まりになり、駐車可能なスペースがある。
ここからは徒歩となるが、獣避けフェンスが設置されているので開けたら必ず閉めること。
鬱蒼とした社叢の中の細い石段を登ると広場があり社殿がある。

なかなかの秘境感だ。
現代的な感覚だと、こんなところに神社があるのか、とビックリするかもしれない。
集落からはそれほど離れているわけではないが物部神社は山腹に鎮座していて長い階段を登る必要がある。

広場には土俵があり、神事で使用されるのだろう。
珍しい形状の石燈籠があるのだが年代は確認していない。
広場より石積みで1段上がって社殿がある。
社殿は覆屋に入った本殿のみのシンプルなもの。
覆屋に入った本殿の建築時期は不明だが状態は良い、本殿の扁額には「物部大明神」とある。

与謝野町春の例祭として加悦谷祭が開催されている。
加悦谷全体を巻き込んでの祭りの行事で、多数の神社が参加している、素晴らしいことだ。
石川区では、物部神社・稲崎神社・大命神社・大宮神社の4神社が一つの祭祀圏として祭礼行事を行うということだ。
祭礼の内容は次のようにある。
“本祭礼では、石川区事務所に集合し、稲崎神社の神楽、大命神社の笹ばやし(与謝野町指定無形民俗文化財)、大宮神社の太刀振り、上地地区の太鼓などの芸能組の公演があり、続いて物部神社で芸を奉納した後、大宮神社まで巡行し、稲崎神社の神楽を含む奉納芸能組の芸を奉納します。
太刀振りの種類は、「奉納振り」「道振り」があり、宮津市府中の籠神社の系統に属する伝統芸能と伝えられています。
「かまど清め」には、現在「かかえ」「ばらばら」「かたて」「からす」「かんぬき」と呼ばれる太刀振りが行なわれます。”

古代の物部氏の本拠地に鎮座する伝統芸能を伝える神社。

注意点

獣よけのフェンスは開けたら必ず閉めること。

訪問ノート

訪問日 :2018/4/21
交通手段:クルマで訪問
カメラ :DMC-TZ60

各種式内社データへのリンク

御祭神等の詳細データは以下をご参照ください。

式内社データベースのダウンロードはこちらから

式内社一覧表はこちらから

式内社地図データのダウンロードはこちらから