比定社:(論)阿良須神社(福知山市大江町)
式内社コード:267-070
神名帳社名 :阿良須神社、アラスノ
社 格:小
所 在 地 :620-0341 京都府福知山市大江町北有路461
Plus Code :95WC+59 福知山市、京都府
※Google Mapで上記の Plus code を検索すると所在地が表示されます。
アプローチ&ロケーション
「あらすじんじゃ」と読む、地名の北有路は「きたありじ」と読む。
北有路集落の西の外れの山裾に鎮座。
国道175号線より北有路の交差点を西へ100メートルほど入った場所にあり鳥居があるのですぐに分かる。
駐車場完備。
訪問しやすさ指数
管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。
【秘境2】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル
【交通3】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける
【徒歩1】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易
【探索2】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル
ハイライト
一番下の段にある杉の巨木。
急な階段を上がったところにあるカチッとした拝殿。
写真
感想
神社謹製の由緒書によると
安産の神
式内 阿良須神社
阿良須神社は、町内唯一の式内社である。
(丹後風土記残欠)には、天火明命(あまのほあかりのみこと、海人族の祖神)が飢えてこの地に来た時、この土地の神に助けられ、この土神に蟻道彦大食持命(ありじひこおおけもちのみこと)という称号を与えたとのべられている。尚、この地にある神祠が蟻巣と言われ、転訛して阿良須となったと記されている。
祭神は、神吾田津媛命(かんあだつひめのみこと)であるが、別名木花咲耶媛(このはなさくやひめ)の名の方が有名である。この神は、日本神話によると、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が高千穂の峰に天降った時、最初に出会った絶世の美人で山の神を代表する大山祇神(おおやまつみのかみ)の娘である。のち瓊瓊杵尊の妃となり、火照命(ほでりのみこと、山幸彦)や火遠理命(ほおりのみこと、海幸彦)を生んだ女神である。
(丹後国式内社取調書)には、阿良須神社は(安産の神)と記され、古来(子宝・安産・女性の守護神)として崇敬されている。
とある。
「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る(追加修正あり)。
ご祭神は、神吾田津姫。
創祀の年やその他の由緒は不明。
本殿はかっては現境内のやや下にあったという。
「安産の社と里人云うに、阿良須は令生(アラス)、生れ益すの義か」とある。
社名より郷名「有路(アリジ)」となり、そこの総鎮守となったとする。
とある。
延喜式神名帳の丹後国・加佐郡・「阿良須神社」の論社2社のうちの1つ。
当地は地図を眺めてみると便利な場所だと思った。
西へ行けば大江、その先は加悦谷、東北へ行けば舞鶴、南へ行けば綾部、加えてすぐ前を由良川(水運)、という交通の要衝にあり当社の前を街道が走っている。
それだけに古くより開けていたようで仲ノ段遺跡(阿良須神社古墳が含まれる)がある。
当社の関係する神社名や地名で出てくるのは次の言葉。
・ありす:蟻巣
・あらす:令生、阿良須
・ありじ:蟻道、有路
また、阿良須神社のある有路地区には四つの十倉神社があって、いずれも神吾田津姫を祭神とし「十倉五社」と呼んでいるそうだ。
地域的に神吾田津姫と関係が深いようだ、なぜだろう。
現在は国道175号線バイパスにより分断されてしまっているが、当社が鎮座する地は谷と谷に挟まれた山が舌状に突出する先端にある。
丹後国ではなく但馬国の例になるが、山が舌状に突出する場所の小字を「アンガ」とする場所がある(274-180_(論)安牟加神社(豊岡市森尾))。
こうした地形との関係は無いだろうか、記録が少ないだけに謎は深まるばかりだ…。
前の道路より石段を上り両部鳥居をくぐると参道は左へ屈曲し、さらに右へ曲がりクランク状になっている。
クランク状の参道は気になるところ、以前は真っ直ぐだったのかもしれない。
一番長い石段と真っ直ぐだったのか、両部鳥居と真っ直ぐだったのか今となってはよく分からない。
一番長い石段は薄く苔が付いた状態で非常に滑りやすいので注意が必要(特に降りる時)。
石段を登りきると社殿のある場所に出るが、社殿はさらにもう1段上にある。
この部分の石垣は新しいように見える。
社殿は拝殿と一体化した覆屋に入った本殿とで構成されシンプル。
本殿は覆屋の隙間から拝見できる。
桧皮葺の一間社流造のように見え、素晴らしい彫り物が施されている(作者不明)。
本殿のある場所の石積みはかなり古そうな感じだ。
社域には摂社末社が数多くある、全て覆屋に入っていてなかなかの高待遇である。
ありすから転訛した名前を持つ安産の神さまの神社。
注意点
苔むした急な階段に細心の注意を!
訪問ノート
訪問日 :2019/7/6
交通手段:クルマで訪問
カメラ :RX100M3
各種式内社データへのリンク
御祭神等の詳細データは以下をご参照ください。