316-020_田川神社

比定社:田川神社

式内社コード:316-020
神名帳社名 :田川神社、タカハノ
社    格:小
所 在 地 :679-2132 兵庫県姫路市香寺町須加院1440
Plus Code  :WP53+6H 姫路市、兵庫県
※Google Mapで上記の Plus codeを検索すると表示されます。

アプローチ&ロケーション

「たがわじんじゃ」と読む、地名の香寺町須加院は「こうでらちょうすかいん」と読む。
国道312号線の須賀院交差点を西へ入り播但線の踏切を渡る。
須賀院交差点から2.8kmほどで一の鳥居が右手に見えてくる、神社自体はさらに850メートルほどで到着。
神社前に駐車スペースがある。

訪問しやすさ指数

管理人の独断による訪問しやすさの点数を付けてみました。
管理人の独断による4つの観点、秘境度・交通の至便さ・徒歩でのアプローチ状況・探索の必要性、を点数化しました。
各点数が低ければ容易、高ければ難易度が高くなります。
式内社訪問の際の参考にしていただければ幸いです。

【秘境2】社域がどのような所なのか
5:秘境度MAX、深山幽谷で野生動物に注意レベル
4:秘境度はかなりのモノ、近くに人間がいないレベル
3:かなり自然の中の神社、時々人を見るレベル
2:近くに集落があり、子供が遊んでいるレベル
1:都会の神社、誰もがフラッと入れるレベル

【交通3】交通機関の状況
5:クルマのみ、4WD車等の特殊なクルマでしか行けない険しい場所
4:クルマのみ、普通のクルマで大丈夫だが林道等の条件の厳しい道路
3:クルマのみ、普通のクルマで普通に行ける
2:電車・バス等の公共交通機関はあるが制約が多くクルマのほうがベター
1:電車・バス等の公共交通機関で容易に行ける

【徒歩1】徒歩区間の長さと難易度
5:片道30分以上歩く、坂がきつい、やぶこき必要レベル
4:歩きは20分以内、がっつりトレッキング、危険箇所あり
3:歩きは15分以内、坂や石段があって軽くトレッキング、所によっては滑りやすいとかあり
2:歩きは10分以内、トレッキング要素ありだが容易
1:歩きは5分以内、容易

【探索2】発見難易度
5:何回も訪問しないと分からないレベル
4:周辺をかなり歩き回らないと分からないレベル
3:少々見つけにくいが見つけることができるレベル
2:目印があって比較的容易に見つけることができるレベル
1:目立つのですぐ見つかるレベル

ハイライト

かつては広大な社域を持っていたと思われる一の鳥居との位置関係。

写真

田川神社の一の鳥居は神社の手前(東)850メートルほどの場所に建っている。かつてはここから長い参道が続いていたのだろうか?
田川神社の一の鳥居は神社の手前(東)850メートルほどの場所に建っている。かつてはここから長い参道が続いていたのだろうか?
田川神社の県道沿いの入口。こちらは鳥居は無い。
田川神社の県道沿いの入口。こちらは鳥居は無い。
田川神社前より右側(北)を望む。この道は兵庫県道80号宍粟香寺線、この先は香寺町香呂に続いている。
田川神社前より右側(北)を望む。この道は兵庫県道80号宍粟香寺線、この先は香寺町香呂に続いている。
田川神社前より左側(南)を望む。この道は兵庫県道80号宍粟香寺線、この先850メートルほどの場所に一の鳥居がある。神社前にはありがたいことに駐車スペースがある。
田川神社前より左側(南)を望む。この道は兵庫県道80号宍粟香寺線、この先850メートルほどの場所に一の鳥居がある。神社前にはありがたいことに駐車スペースがある。
社標には郷社 式内 田川神社とある。
社標には郷社 式内 田川神社とある。
香寺中学校区地域夢プラン実行委員会謹製の「郷社 式内田川神社」。祭神は、「息長足姫命」、「大年神」と伝えられています。境内には山神社、竹生島神社も別に祀ってあります、とある。なぜ竹生島神社なのかはハッキリしない。
香寺中学校区地域夢プラン実行委員会謹製の「郷社 式内田川神社」。祭神は、「息長足姫命」、「大年神」と伝えられています。境内には山神社、竹生島神社も別に祀ってあります、とある。なぜ竹生島神社なのかはハッキリしない。
石柱の間から社域に入ると社殿の軸からずれていて右側から入る形となる。右側は兵庫県道80号宍粟香寺線、左側は須賀院川に挟まれた社域で歪な形となっている。
石柱の間から社域に入ると社殿の軸からずれていて右側から入る形となる。右側は兵庫県道80号宍粟香寺線、左側は須賀院川に挟まれた社域で歪な形となっている。
石灯籠の間を抜けて社殿の前に進む。
石灯籠の間を抜けて社殿の前に進む。
正面に拝殿その奥に本殿、右手に手水舎、左側に社務所のような建物が配置されている。なぜか懐かしさを感じる社域。
正面に拝殿その奥に本殿、右手に手水舎、左側に社務所のような建物が配置されている。なぜか懐かしさを感じる社域。
手水舎。
手水舎。
拝殿を正面より望む。木々がちょうどよい感じの社叢を形作っている。
拝殿を正面より望む。木々がちょうどよい感じの社叢を形作っている。
兵庫県・姫路市教育委員会謹製の由緒書。永正3年(1507年頃)赤松一族がこの付近を治め、とあるが赤松氏本拠地の置塩城が北西2.5kmほどにあり非常に近い。
兵庫県・姫路市教育委員会謹製の由緒書。永正3年(1507年頃)赤松一族がこの付近を治め、とあるが赤松氏本拠地の置塩城が北西2.5kmほどにあり非常に近い。
拝殿を右側より望む。
拝殿を右側より望む。
拝殿を左側より望む。
拝殿を左側より望む。
拝殿越しに本殿を望む。拝殿は腰板、床があり絵馬殿のような感じ。素朴な印象だ。
拝殿越しに本殿を望む。拝殿は腰板、床があり絵馬殿のような感じ。素朴な印象だ。
拝殿に施された彫り物。精緻で素晴らしい出来、残念ながら作者は不明。
拝殿に施された彫り物。精緻で素晴らしい出来、残念ながら作者は不明。
本殿を右側より望む。本殿は門と垣で囲まれており残念ながら近づくことができない。本殿はカッチリした作りで寛保2年(1742年)建築の記録が残る、状態は非常に良いように見える。
本殿を右側より望む。本殿は門と垣で囲まれており残念ながら近づくことができない。本殿はカッチリした作りで寛保2年(1742年)建築の記録が残る、状態は非常に良いように見える。
本殿後方の大欅。
本殿後方の大欅。
本殿の後方には大欅があり推定樹齢が550年とある。
本殿の後方には大欅があり推定樹齢が550年とある。
本殿を左側より望む。屋根には鰹木が3本、千木も3本、千木の載せ方が珍しい。
本殿前の門にある彫り物。なかなかに立派で見応えがある、残念ながら作者は不明。ご神紋は丸の内に二つ引き。
本殿前の門にある彫り物。なかなかに立派で見応えがある、残念ながら作者は不明。ご神紋は丸の内に二つ引き。
社域の須賀院川沿いの垣と木々。社域は落ち着いた感じで近隣の人々の憩いの場となっていて地域に大事にされている様子。
社域の須賀院川沿いの垣と木々。社域は落ち着いた感じで近隣の人々の憩いの場となっていて地域に大事にされている様子。

感想


香寺中学校区地域夢プラン実行委員会謹製の「郷社 式内田川神社」によると

祭神は、「息長足姫命」、「大年神」と伝えられています。境内には山神社、
竹生島神社も別に祀ってあります。石の大鳥居と燈籠が奥須加院東端に位置し、
一の鳥居から社殿までが相当離れており、現在は昔の参道の面影は無くなって
いるが、距離から見ても、往時の勢力が分かる神域の広さである。
そして、境内入口にある石造りの高い門柱は一の鳥居と正対していると云われて
おります。境内の北方にある欅の木は香寺町随一の巨樹で、1号樹と2号樹が
あり、推定樹齢600年を経て幹の周囲5.6メートル、高さ37.7メートルと樹勢が今なお
極めて盛んである。旧香寺町より「香寺町天然記念物」の指定を受けております。
また、境内横を流れている須加院川には蛍が多く生息しており、毎年5月下旬~
6月上旬にはホタルの優雅な乱舞が見られ、訪れる人の心を和ませています。
香寺中学校区地域夢プラン実行委員会
 平成21年10月25日

とある。


兵庫県・姫路市教育委員会謹製の由緒書によると

田川神社(式内田川神社)

 この社は、神功皇后(269年前頃)にまつわる神社
で、いろいろの伝説があるが、記録に出てくるところ
によれば、永正3年(1507年頃)赤松一族が
この付近を治め、天正6年(1579年頃)には、
赤松氏の代官として、馬杉五郎衛門が代わっておさめて
いた時、本殿屋根の修理をしたとあるが(本殿造営
の年は不明です)拝殿は、永禄8年(1565年頃)に
建てたこととされ、現在の田川神社となっているもの
です。

兵庫県・姫路市教育委員会

とある。


香寺町文化協会謹製の「田川神社の大欅(けやき)」によると

本殿裏の二本の大欅は昭和六十一年四月香寺町の
指定文化財(天然記念物)に指定された。

西の大欅は
 目通り幹囲り 五.六メートル
 根本周囲   八.八五メートル
 樹高     三七メートル
 枝張東西   三〇メートル
 同 南北   三四.五メートル
 推定樹齢   五五〇年
 全国順位   六九位

町内随一の巨樹である。樹勢極めて盛んで周囲の環境
もよいので将来二倍の太さになると見込まれている。
 (三宅一喜氏調査)
 平成十二年十二月 香寺町文化協会

とある。


「延喜式神社の調査」によると以下のデータが残る(追加修正あり)。

ご祭神は、息長帶姫命、(配祀)大年神。

天平年間行基菩薩石坐神山に萬福寺を開基し当社を崇敬。
永正3年(1506年)造営。
永禄8年(1565年)拝殿建築(追加)。
寛保2年(1742年)本殿再建。
明治5年(1872年)田川神社と改称。
明治7年(1874年)2月村社。
昭和11年(1936年)9月郷社。

江戸時代までは「大歳大明神」、「田川十五所大明神」と呼ばれていた。

往古神功皇后が棚原山に於て天神地祇を祀り給うた時、身禊すべき所を求め、この須加(即ち現今の境内近き清水)の地を得て身禊をし、諸々の物を備え給うたことがあるによつて一社を創立して神功皇后を祀るという。
もとは棚原山の山頂に鎮座したが、いずれかの時代に現在地に遷座したという。
田川神社には往古、奥社・中社・口社の三社があった。奥社が当社で、中社があった所が瑞雲山の八幡神社のある場所である。現在の八幡神社はのちに勧請された。もうひとつの口社は洪水で流失し、その所在地は不明と伝承されている。

とある。


兵庫県神社庁によると

主祭神:息長足姫命(オキナガタラシヒメノミコト)
配祀神:大年神(オオトシノカミ)

由 緒:
 神功皇后棚原山にて天神地祇と祀り給いし時にこの地にて禊をされた故事により創建された神社で、延喜式神明帳に記載のある古い社です。

とある。


田川神社のある当地は、姫路城の北、直線距離にして7.6kmほどに位置する。
市川の支流の須加院川沿いの谷筋の奥にあたる場所だが、さらに北へ進むと香寺町香呂、西へ進むと夢前町に通じる。
この須加院川谷とも呼べる谷筋には、現在でも市川側が口須加院、中ほどが中須加院、そして田川神社のある場所が奥須加院という地名となっている。
田川神社は元々奥社・中社・口社の3つから成り立っていたとあり、それぞれの鎮座地が口須加院・中須加院・奥須加院となったと思われる。
さらにかつては奥社は棚原山の山頂に鎮座していたと記録があり、現在地よりもさらに北へ2.9kmほどの山の頂上と言われている。
こうした変遷があるようだが現在残っているのは奥社である田川神社のみとなっている。
周囲には南条山城跡・錬金古墳・宮ノ前1~2号墳・常福寺山古墳・極楽寺瓦経塚・新野塚(親王塚)古墳・山伏塚古墳等がある(兵庫県考古博物館資料による)。

田川神社のご祭神は、息長足姫命、(配祀)大年神。
息長足姫命は神功皇后(じんぐうこうごう)のこと、但馬国や播磨国に神功皇后をご祭神として祀る神社は多い。

田川神社へのアプローチは分かりやすい。
国道312号線の須賀院交差点を西へ入り播但線の踏切を渡る。
須賀院交差点から2.8kmほどで一の鳥居が右手に見えてくる。
田川神社からは850メートルほど離れているが、離れたところに鳥居があるのはそれほど珍しいことではない。
ただ参道が通じていることが多いのだが鳥居と神社の間には山が横たわり直線では到達できない。
この一の鳥居は明治時代に建てられたもののようだが、一体どのような経緯でここに建てられたのだろうか、詳細は不明だ。
ありがたいことに神社前に駐車スペースがある。

一の鳥居から兵庫県道80号宍粟香寺線を進むと左手に石柱が見えてくる。
田川神社には一の鳥居以外は鳥居は現在無い。
そのまま解釈すると、一の鳥居あたりまで田川神社の社域だったのではないかと想像できる。
そうだとすると、かつてはなかなかに広大な社域を持っていたということになる。
県道から社域に入ると須賀院川と県道の間に挟まれて歪な形状となっていることが分かる。
入口左の社標には郷社 式内 田川神社とある。
ちょっと不思議なのは社域入り口に対して社殿は正対しておらず右横から入る形となる。
社殿と社域が合致していない、何かの事情、例えば川筋が変わってしまいこうした事になっているのかもしれない。
社殿は拝殿と垣に囲まれた本殿で構成される。
拝殿はシンプルで腰板が付いて床もある、内部は絵馬殿のようになっている。
その奥の本殿は、垣で囲まれ立派な門が付いており残念ながら本殿へは近づけない。
本殿はカッチリした作りで寛保2年(1742年)建築の記録が残る、状態は非常に良いように見える。
本殿の屋根には3本の鰹木、3本の千木があり珍しい形状。
本殿及び門には見事な彫り物が施してあり見ごたえがある、残念ながら作者は不明。
本殿後方には大欅があり古くからここに鎮座していることを示している。
社域はきれいに保たれており、訪ねた時にも近隣の人たちの憩いの場になっていて地域に大切にされている様子を感じることができた。

かつては広大な社域を誇っていた神社。

注意点

特に無し。

訪問ノート

訪問日 :2023/8/11
交通手段:クルマで訪問
カメラ :α7S3 + FE16-35mm F2.8 GM、α7M3 + 35-150mm F2-2.8 Di III VXD

各種式内社データへのリンク

御祭神等の詳細データは以下をご参照ください。

式内社データベースのダウンロードはこちらから

式内社一覧表はこちらから

式内社地図データのダウンロードはこちらから